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執筆者の写真TADUGANE CRAFTS

畑の看板修復が完了

依頼を受けていた看板修復が完了しました。

こちらがお預かりした当日の状態。木は全体的に黒ずみ、油性マジックで書き入れてあった文字は色が抜けてしまっています。これはこれで味わいがあって良いですが。


まずは両面をドラムサンダーを使って一皮剥いてみることにしました。

皮の部分は活かす方向で、このまま進めます。


それなりに反りもあったので、ドラムサンダーでは当たらない部分もありました。部分的に鉋を掛け、表裏面に綺麗な面を出します。


面出しが終わったらランダムサンダーで1000番のヤスリ掛け。木地を整えます。


塗装に入る前に表面だけマスキングします。最終的には全体を漆で塗装しますが、表面に関しては漆の色を濃く出したいので、下地から全て漆で行います。そのほかの部分はラッカー・ウレタンとの併用で塗装します。


塗装開始。まずはラッカー系の目止めを吹き付けます。表面を除き、3回吹き付けました。

目止めが済んだら一旦サンディングして整えてから、ウレタンクリアを吹きつけました。水を吸いやすい木口や縁の部分などは特に厚めに吹き付けました。


表面には拭き漆で塗装開始です。他の面も一緒に拭き漆して進めていきます。


ラッカー+ウレタンで塗装した後に拭き漆をした裏面。表面に比べると若干色が薄めです。


これで拭き漆6回目。大分艶が出てきました。


こちらは拭き漆7回の後、呂色磨きをした様子。若干艶が増しています。


文字原稿をトレースします。


これを元に色漆で文字に色付けします。


塗りたて直後。良い感じです。


漆ムロに入れて乾燥させましたが、色漆を乾かすには湿度が高すぎたようで、発色が上手く行きませんでした。塗りたて直後はクリーム色だった文字が、褐色になってしまいました。

再度塗り直し、湿度の低い「空室(からむろ)」状態にして3日ほどかけてじっくり乾かしました。

発色が上手く行かず困っていた際、いつも漆用品を購入させて頂いている佐藤喜代松商店さんが丁寧に解決法を教えて下さいました。


塗装が済んだので、吊り下げ金具を取り付けます。電動ドリルで下穴を空け、耐水性のあるボンドを流し込み、金具を取り付けます。


ここで失敗するとこれまでの苦労が水の泡になるので、慎重に下穴を空けて作業しました。


完成。


天日に当てることで漆が空けて、さらに発色が増すのこと。


右は端は「見沼田んぼ」の朱印(風)。フリーハンドで手書きしました。



いつも食器の塗装でやっている拭き漆の応用で看板修復が出来ました。

技術や知識は応用出来る愉しみがあります。

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